高齢者や障害者なとの介護サービス利用者の生活を支援することは、介護職のメインの仕事だ。利用者を抱えたり支えたりという肉体を酷使する重労働は、避けて通れない部分がある。ところが、介護職員の給与は他の業種に比べて極めて低く、重労働の割に収入が少ないため離職率が高い。離職者が多いと人手不足が慢性化して残った職員の負担が益々大きくなり、更に離職者が増えるという悪循環に陥っている。一方、高齢化が進んで要介護者の数も増え、介護職の需要は高まるばかりだ。
こうした苦境にある介護業界を救うため、介護職の給与を上げる試みがなされてきた。加算制度がその一つで、介護事業所は有資格者の人員配置などそれぞれの状況に応じて加算を申請すれば、より多くの報酬を請求できることになったのだ。特に、処遇改善加算は介護職員の低所得を改善するために導入された制度で、申請した介護事業所には常勤と非常勤の区別なく一時金として交付することが認められた。処遇改善加算の分配は所長の裁量に任されているため、所内で不平等が生じるリスクは否定できないものの、介護職の年収是正の一歩前進として評価されている。
さらに、実務経験が10年以上の介護福祉士については、全産業の平均年収に近付けるため特定処遇改善加算という制度が適用されることになった。特定処遇改善加算の対象者になると、年収440万円以上の給与が保証されるので、月額が8万円以上アップする介護福祉士もいる。この制度の適用対象者がはまだ少ないとはいえ、今後対象者になるべく介護職に留まる人も増加している。また、転職候補者を集めるためのアピール材料としても効果を発揮するだろう。